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森の家 - 2013.02.14 Thu

その国は大きなアフリカ大陸の中ではあまりに小さく、目立った資源もないことから、当時も世界最貧国の一つとして世界から忘れ去られたような存在で、時代に取り残されたかのような人々の暮らしもあり、本当のアフリカの姿が残った国だった。

もうかれこれ15年ほど前、私たちはその国で初めて海外で暮らし、仕事をしていたのである。

「アフリカの温かい心」と言われるマラウイ共和国はモザンビーク、ザンビア、タンザニアに囲まれた内陸国で、1963年にローデシア・ニヤサランド連邦が解体され、イギリスの保護領となったニヤサランドがイギリス連邦の加盟国として独立した時にできた国だ。

森林学校をのぞむ
マラウイ中部、モザンビークと接するデッザという町の近くにある森林保護区「チョンゴニフォレストリーリザーブ」の中に住んでいた。大地溝帯にも離接しており、アフリカらしい粘土質の赤茶けた大地に標高は約1600mあり、冷涼な気候の過ごしやすい所だ。今も国は変われど高地に住んでいるし、比較的高地に縁があるのかもしれない。

その森に暮らすようになってから初めて、夜の闇が本当に暗いこと、アフリカ人が闇夜に溶け込み目と白い歯しか見えなくなること、月の光が素晴らしく明るいことを知った。

チョンゴニフォレストリーリザーブは主に針葉樹を植林した森で、野生生物・森林大学校があるだけのエリアだった。かろうじて不安定な電気や水道はあるけれどそれ以外は文字通り何もなく、食料の買い出しは隣接するムパラレビレッジで週一回、金曜日に開催される、歩いてゆっくり見て回っても数分で見尽くすことができる小さなマーケットがあるのみだった。

一番近い国道までは歩いて約2時間、一番近い町デッザまでは約15km離れていた。

自宅2 自宅1
一人暮らしには大きすぎる3LDKの平屋、学校の職員住宅の一つに住んでいて、屋根にかかるように茂っている鮮やかな紫のブーゲンビリアがとてもキレイだった。

自宅キッチン
電気は一応きているものの電圧が不安定で、停電や停電ではないけれど供給電圧の低下がしばしば起こり、電気クッカーは持っていたものの使えない日が数多くあった。

そんな時活躍したのが七輪のような炭を焚く道具やイギリス製の薪クッカーで、この写真のアンティークで素敵な薪クッカーはとても機能的で、きちんと焚くと給湯機能が働くように作られていた。でもその便利な機能も何回か使ったら、水タンクがなぜか破裂して、その機能は残念ながら使えなくなってしまった。

いぬたちと
森の家での生活の一番のお気に入り、そして一番の贅沢は、使い放題の間伐材を薪にして暖炉に火をともすことで、暖かなその火を眺めながらお酒を飲みつつ愛犬たちと過ごす、そんなゆったりと流れる時間は何ものにも代えがたい贅沢な時間だった。

高地で乾燥した気候のため夜は肌寒いのが常で、一年を通して季節を問わず暖炉を焚いていた。

暖炉の火を眺めるともなく眺めていると、遠くハイエナの特徴ある甲高い遠吠えが聞こえる。月の明るい夜にはアフリカ特有のリズムを刻む太鼓の音が風にのって聞こえてくる。村で何か祝い事でもあったのだろうか。テレビもラジオもない生活の中で、生活の喜びはどんどんシンプルになっていった。

美味しい食事を作り、本を読み、ギターを弾く、月のない夜に森の家を一歩外に出ると頭上には嘘みたいな数の星に埋もれた南十字星や天の川を見ることができた。

この時の生活体験が暖炉というか、火のある生活に憧れるきっかけになったのだろう。そして私たちは自分たちの家を建てる時に薪ストーブを導入することにこだわったのである。チョンゴニの森の家で見た星空には及ばなくても、美山の里の星空もなかなかのもので、その素晴らしい清涼な空気が縁のない土地への移住を決断させた。私たちの暮らしの原体験、森の家は今もチョンゴニの丘の麓にある。


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● COMMENT ●

Re: タイトルなし

おちゃさん、コメントありがとうございます。

20代半ばですからね、若いですよね。実はこの写真を出すことに
少々恥ずかしさがありました。

我が家があった場所は、バスの通る国道から結構遠く、訪ねてくるには
なかなか不便な場所ではありました(運が良ければ学校の関係者の車に
拾ってもらえることもありました)が、そんな場所にあっても、
我が家の環境は日本人の知り合いたちにも人気で、来客の多い家でした。

薪クッカーで調理中のもの、おちゃさんに質問を受けて改めてじっくりと
見てみたところ、調理器具の下に皿などを置いてお湯をはっているのが分かりました。
おそらく、来客者をもてなすためのプリンあたりを蒸し焼きにしようと
していたものと思われます。うまくできたかどうかというところまでは
残念ながら思い出せません。

画像に写るお顔が若い。
過ごしやすそうな場所ですね。
因みに、薪クッカーの中で作っておられるものは何なのでしょうか?


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